福岡県の八女地方で生産されるお茶の話
福岡県の八女市とその周辺で生産されるブランド茶=八女茶(やめちゃ)
福岡県は、あまり日本茶のイメージがありませんが、実は栽培面積と収穫量で全国6位を誇る有名なお茶の産地です。
八女茶が生まれるまで
八女の地域は、気象的に冷涼多雨で昼夜の寒暖差が大きい、恵みの地があり、玉露やかぶせ茶、高級煎茶等の生産に適し特に本玉露は緑茶の中でも最高級のお茶で、質・量ともに日本―を誇っています。八女地方は、玉露の産地でもありますが、煎茶もまた、上品な甘味が特徴で、格別なおいしさです。
八女茶の歴史は、応永30年に周瑞禅師が中国(明)よりお茶の種を持ち帰り、笠原(現在の黒木町)にまいたのが始まりとされています。
安土桃山時代までは集落ごとの少量生産でしたが、庶民の生活にお茶が広がるにつれて生産量と地域が拡大していきました。江戸時代末期にお茶が輸出されるようになると生産はさらに盛んになり、大正時代末期には八女市全域に広がりました。現在は、約2200戸の農家がお茶の生産に携わっています。
栽培法も独特です。八女茶は、茶の芽を減らすことで一枚の葉を大きく育て、品質の良いお茶を作る方法を採用しています。茶葉の収穫は、新茶、二番茶、三番茶……そして番茶と、年に何度か行われるのが一般的ですが、ほとんどの農家が二番茶で収穫を終えるのも八女ならでは。そうすることで茶木がしっかりと養分を蓄え、旨みに溢れる良質な茶葉が育つのです。特に玉露の栽培では、化繊のネットで覆い日光を遮るのが主流になっている今、八女では現在でも稲わらを使用して被覆し、手摘みで収穫するという栽培法を貫いています。
伝統を重んじ手間暇を惜しまず、今なお受け継ぐお茶栽培技法。日本だけでなく、世界へも羽ばたいている八女茶を、ぜひ多くの方に召し上がっていただきたいと思っております。
おいしい八女茶、ご堪能ください。