八女茶 小さな町から 世界へ
八女茶(やめちゃ)とは、 福岡県の八女市とその周辺で生産されるブランド茶 です。
福岡県は、あまり日本茶のイメージがありませんが、実は栽培面積と収穫量で全国6位を誇る有名なお茶の産地です。
八女市とその周辺地域は「冷涼多雨」であり、日本茶の栽培においては非常に適した環境とされています。
矢部川
矢部村を源流に、八女をゆったり流れくだる矢部川。河川敷には遊歩道が整備されており、春には土手いっぱいに黄色く咲き揃う菜の花が楽しめます。
八女だからこそ 八女茶
「色よし、味よし、香りよし」の銘茶として全国的に評価の高い八女茶。
伝統ある優れた技術により生産され、全国茶品評会等においても常に上位に入賞し、高級茶として名声を博しています。
八女伝統本玉露
110年の伝統や質の良さ、品評会で長年日本一に輝く実績が認められ、国の地理的表示保護制度(GI)に登録されました。
八女茶スイーツ
市内には、八女茶を使った様々な和・洋菓子が楽しめるお店があります。お気に入りのスイーツを探してみてください。
しずく茶
伝統本玉露の甘くまろやかな味わいを、ほんのひとしずくに凝縮しました。ふたをしたままのお茶碗を傾け、そこからこぼれ落ちてくる一滴を舌の上に転がす。玉露の旨みを余すところなく引き出す飲み方、それがしずく茶です。
世界に普及していく八女茶
日本文化が世界で注目されている中、茶道がとくに人気を集めています。茶道には、日本人のおもてなしの精神やわびさびの精神など、独自の価値観が詰まっているのがその理由とされています。
2000年を過ぎる頃から、抹茶味のスイーツやお菓子が海外の方に受け入れられるようになってきました。
とくに、外国人観光客のお土産には、抹茶のお菓子ばかりがランクインしています。
また、海外の星付きレストランなどで抹茶のデザートが使用されたり、抹茶のお菓子が販売されたりと、今では世界的に有名となっています。
このように、インバウンドから始まった抹茶人気が、茶道人気へ、日本茶人気へつながっているともいえるのです。
日本で唯一「GI(ジーアイ)認証」を持つ 八女玉露
日本政府:農林水産省が、「神戸ビーフ」「米沢牛」「夕張メロン」と同列で、各産品と産地の関係を保護する「GI(ジーアイ)認証」という称号を付与された、日本唯一の玉露です。
八女は量より“質”にこだわって勝負してきた産地
とりわけ玉露は磨き上げた旨味と甘味が自慢で、まさに感動につながる味わい。
「国内にとどまらず、世界中に八女茶ファンが増えれば、すばらしい」 福岡市内のホテルで2022年12月に開かれた記者会見で、推進協議会の江島一信会長はボトリングティー開発プロジェクトへの期待を語りました。
開発を進めているのは、八女伝統本玉露の茶葉を使った緑茶です。
世界のソムリエが惚れ込んだ味
このプロジェクトをぐっと前に進めたのが、八女の玉露に惚れ込んだソムリエの存在です。
スペインを拠点に世界で活躍するソムリエのフランソワ・シャルティエさん。
世界の高級レストランで通用する味だと直感したといいます。
八女茶の最高級ブランド「八女伝統本玉露」を世界に発信しようと、福岡県八女市や生産者、茶匠の各団体などでつくる「八女伝統本玉露推進協議会」が、高級ボトリングティーの開発を進めています。
八女茶の発祥600周年となる2023年春の完成を目指し、世界で活躍するソムリエ、フランソワ・シャルティエ氏と連携してブランド力を高めるとともに、販売網を構築していく考えです。
グラスに注がれた緑は美しく、癒やしを感じさせます。
そして、口に含むと、甘みやほのかな渋みといった重層的な味が広がります。
「小さな町 八女」が世界に挑戦
海外市場に挑む背景には、国内で進む「日本茶離れ」への危機感もあります。
全国茶生産団体連合会(東京)のまとめによると、緑茶の国内消費量は1980年に10万トンを超えていましたが、2021年は約7万5000トンにとどまっています。以前はほとんどの家庭に急須があり、お茶を入れて家族で食卓を囲んでいましたが、個食が広がり、飲料も多様化しました。
こうした状況を受け、推進協議会は「海外市場の開拓は欠かせない」と、2015年の設立当初から海外市場への挑戦を検討してきました。
しかし、協力する意向を示していた世界的シェフの急逝、世界に広がったコロナ禍などにより、活動は一時停滞を余儀なくされました。
八女一帯で主に作られている玉露は、わらで作った覆いで日光を一時遮るなど、甘くてまろやかな味に仕上げるため、生産者が手間と時間をかけて作業しています。
八女市農業振興課の担当者は「今回のプロジェクトが起爆剤となりブランド力が高まれば、生産者や後継者のやりがいにもなる。
100年先の産地の維持・発展につなげたい」と、ボトリングティーによる海外戦略に挑戦をしています。
国内では将来的に、高級飲食店での提供や贈答用での販売が行われる見通しです。